日本の中学に相当する中国での義務教育は「初級中学(チュージージョンシュエ)」です。この初級中学は日本の中学と同じ3年制ですが、言語や文化の違いを筆頭に、日本と異なる部分も多くあります。
そこで今回は、中国在住歴10年以上、現地で4児の子育て中である筆者が中国の初級中学についてご紹介していきます。
中国の中学校事情!在住者に聞く7つの特徴!
1. 日本の中学に相当するのは中国の初級中学
中国の教育体系は、小学、中学、大学の三段階に分けられます。その中でも中学は初級中学と高級中学に分けられています。義務教育に当たるのは6年制の小学と3年制の初級中学を合わせた9年間です。
日本の中学に相当するのは、この初級中学の部分で、口語的には「初中(チュージョン)」と呼ばれ、日本の高校に相当する高級中学の口語的表現、「高中(ガオジョン)」と区別されます。中国の初級中学は公立校に加えて、私立の学校、インターナショナルスクールがあります。
なお、中国の小学校事情は以下の記事にまとめていますので、ぜひ一読ください。
中国の小学校事情!在住者に聞く7つの特徴!
中国に移住することになった場合、子どもの通う学校について不安な方も多いと思います。言語や文化的環境の異なる中、親子にとって出来るだけ最適な学校を選びたいですよね。そこで今回は、中国在住歴10年以上の筆者が中国の小学校についてご紹介していきます。
2019.09.07
2. 中国の初級中学からの卒業生はほとんど高級中学に進学する
2015年の中国国内のデータによると、中国全土で計5.24万校の初級中学校があり、生徒数は4,311.95万人とされています。世界一の人口を誇る中国ならではの数字です。更にこの初級中学生徒の卒業生のうち、約94%が高級中学に進学します。高級中学自体は義務教育ではありませんが、日本と同様、大部分の学生が次の教育制度へと進学しているのが現状です。
ちなみに平成29年度の日本の中学生総数は約333万人ですので、中国の初級中学生総数はおよそ日本の13倍となります。
3. 初級中学3年生時には高校受験がある
13億人以上の人口を抱える中国では、様々な競争が熾烈です。大学受験や就職時の競争も過酷ですが、初級中学3年生時には高校受験という競争が待ち構えています。この高校進学への受験のことを「初中学业水平考试(The Academic Test For The Junior High School Students)」、略して「中考(ジョンカオ)」と言います。
日本では、高校3年生時の大学受験のように、進学する先の教育機関の名前を受験名に使用しますが、中国では受験時の学年を受験名に使用します。つまり、「中考」という名前でも、中学を受験するわけではなく、初級中学生が受ける高校進学のための試験のことを指します。
試験に申し込みをして受験し、その後試験成績によって進路を選択します。選択肢としては、公立の高級中学、私立の高級中学、職業学校、技術学校等があります。
なお、中国の大学受験については以下の記事で詳しく紹介していますので、合わせてチェックしてみてください。
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4. 小学校に比べると一段と勉強が大変になる
中国の初級中学では、小学校以上に学習内容の難易度が上がり、学習範囲も更に広域で専門的な内容へと変化していきます。
中国の初級中学では、歴史、地理、化学、生物、語文(中国語)、数学、英語、道徳と法治等の科目が新たに加わります。このうち、語文(中国語)、英語、道徳と法治は3年間継続的に学びますが、地理、歴史、生物は初級中学1年目から、物理は2年目から、化学は3年目から開設されます。
学業のみならず、美術や音楽、体育の授業もあり、ITの授業も初級中学1年目から始まります。
5. 中国の公立中学校には日本のような制服がない
日本では多くの学校で制服制度がありますが、中国では日本のようなかっちりとした学生服はほとんど見かけません。
公立校では、ゆったりとしたデザインの体操服のような制服を採用している学校が多く、男子も女子もズボンをはいていることが多いです。実用的で、体育の授業の前に体操服に着替える必要がないというメリットがありますが、日本のようなかっちりとした制服に憧れている学生も少なからずいるようです。
一部私立の学校では制服を重視している学校もあります。筆者の姪が通っていた私立の幼稚園から高校までの一貫私立校では、異なるデザインの制服が多種用意されており、体操服はもちろんのこと、ジャケット付きの正式な制服もあり、状況に応じて着用します。その学校では学費の中に制服費用も含まれており、日本のように自分自身で購入する必要はありません。
一方、筆者の子どもが通っているアメリカ系のインターナショナルスクールでは制服はなく、いつも私服で通っています。体育のある日は、女子はスカートを穿いてきてはいけないことになっています。
6. 中国の学校では日本ほど運動会を重視していない
日本の学校の秋の大イベントと言えば運動会ですが、中国では小中高に関わらず、あまり盛大に運動会が開かれることはありません。
筆者の子どもが通っている中国のインタナショナルスクールでも、一応秋くらいに「Sports Day」というものはあるものの、当日みんなで集まって数時間スポーツを楽しむという程度のもので、予行演習をしたり、プログラムを作成したりといった盛り上がりはありません。
このインターナショナルスクールでは始業式や、入学式のような日本では定番の行事もなく、新学期も1日目から普通の授業が始まります。
中国の運動会については以下の記事で特集していますので、合わせて読んでみてください。
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7. 中1は7年生と呼ばれることがある。
日本では中学1年生のことを略して「中1」と呼びますが、中国では6年制の小学校からの続きで、7年生と呼ぶことがあります。
筆者の子どもが通うインターナショナルスクールも、Grade6,Grade7…という数字を足していく呼び方が使われており、高校三年生に相当する学年、Grade12まであります。
日本人からすると聞きなれない呼び方ですが、このような呼び方があることを知っておくと戸惑うことがありません。
まとめ
いかがでしたか?
中国の初級中学について理解が深まったかと思います。中国の公立校の学生は日頃から大量の宿題を夜遅くまでこなしているそうです。
中国では教育に熱心な家庭が多いのも特徴的で、加えて人口の多さに伴う競争も非常に熾烈です。中国の公立校での初等中学生の生活は、日本の中学生よりも大変だと言えるかもしれません。
インターナショナルスクールでは、学校にもよりますが公立校より宿題が少なく、授業時間も短い傾向にあるようです。日本とは違う教育環境を体験してみたい方は是非中国にいらしてみてくださいね。
中国の中学校事情!在住者に聞く7つの特徴!
1. 日本の中学に相当するのは中国の初級中学
2. 中国の初級中学からの卒業生はほとんど高級中学に進学する
3. 初級中学3年生時には高校受験がある
4. 小学校に比べると一段と勉強が大変になる
5. 中国の公立中学校には日本のような制服がない
6. 中国の学校では日本ほど運動会を重視していない
7. 中1は7年生と呼ばれることがある
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